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狐に化かされて 一話

しがない男子高校生の趣味は御朱印集め。どのくらい
しがないかは読者の想像にお任せするとして御朱印とは
寺や神社に行って参拝の証としてもらう印のことである。そ
れを朱印帳に書いてもらうのだ。高校生の趣味にしては
渋すぎると言われるかもしれないが今、TVなどでも紹介
されていて若い人にも人気がある。彼は暇さえあれば近く
の神社や寺をめぐり参拝した。次第に朱印のある参拝先が
遠くなっていくがそれでも寺や神社をめぐるという観光的な
気分と神様を信仰している、とまでは言わないがそういった
善意的な感覚もあって軽やかな気分で朱印を集めていた。
そしてようやく一冊目の朱印帳が集まると、また集めようと思い、新しい
朱印帳を買い足そうと近くの神社まで行った。自転車でいける距離にな
るのだがどうもいつもと神社の雰囲気が違う。しかしどう違うかはうまく説
明ができない。とりあえず用を済ますために社務所へ行き、朱印帳を
買ってみることにした。社務所の受付には巫女さんがいた。体つきは細
く妖艶で、何かもの悲しげなきれいな細目は彼を誘惑しているのではな
いかと思うほどであった。彼はつい見とれてしまい、どんなやり取りで
買ったか忘れてしまうくらいにぼんやりしてその朱印帳を受け取った。
その後、朱印集めは一冊目の時よりもはかどった。心のどこかで早く集
めないといけないという使命感があったからだ。今となってはどうして急
ぎもしないことをそんな一生懸命になったのか不思議に思う。そして半
年もたたずして二冊目の朱印帳はすべて埋まった。
その最後の朱印が集まった夜のことでだった。その日は隣町のさらに
隣町の神社へと自転車ひとつで往復した。家に帰ってきたころには鉛の
ように体がだるく疲れていた。そして流れ作業のように夕飯とお風呂を済
して、自分の部屋行くとベッドに倒れこむように寝てしまった。そのとき机
の片隅に置いておいた朱印帳から煌々と光が放たれていることを彼は知
らずに…。

ベッドの上で彼は夢を見た。夢の中では一匹の白狐が彼のほうをじっと見
ている。周りには草むらが無限に広がっている。狐はその草むらの中を優
雅に駆け回りはじめた。ふとよくみると狐のそばには「鶴の恩返し」などの
昔話でよくみる狩猟用の罠でトラバサミとか言われるものが置いてあった。
彼は危ないと思ったがときすでに遅し、狐はその金属板にぴしゃりと挟まっ
てしまった。先ほどまで愉快に駆け回っていた狐は苦痛の鳴き声をもらしな
がらじたばたともがいている。見るに耐えなくなった彼はすぐにそばに駆けつ
け、罠を解いてやった。罠を解いた後も、前足は痛々しく赤く腫れ上がってお
り、声にならないような声を漏らし続けている。彼はどこから出したのかわか
らない包帯をその狐の足に巻いてあげた。すると狐は急に鳴き声を止めて人
間の女の声で「よくぞ、わしを助けてくれた。褒美にお前の守り神としてそなた
にとり憑いてやろう。」夢の中のせいか、どうして人間の声でしゃべったのか不
思議には思わなかった。そしてどういう意味なのかもよく分かっていなかった。
ただ良いことをしたという満足感と、狐の声が色っぽい人妻のような魅力を感じ
たということだけはしっかりと覚えていた。

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