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狐に化かされて 四話

そして一息つく暇もなくスマホの振動音が聞こえた。「もう誰だよ。」と思い
ながらスマホを出すと画面には親友の名前が表示されていた。親友は同
じ学校のクラスメイトで幼いころからの友人である。何件かすでにメッセー
ジが届いている。


7:45 俺遅刻するかもしれん
7:58 ぎり間に合った
7:59 あれ門閉まってるんだけど…
7:59 あっ今日学校休みだったわwwwwww
8:12 やべぇwwwwこんな時間にしかもこんな田舎にコ
    スプレイヤー発見wwww  
8:12 {ここにある画像が添付してあった}
8:12 しかもめっちゃ恥ずかしがってるんだがwwww犬
    耳かキツネ耳かわかんねぇけど隠すくらいならコス
    なんかやるなよなぁ。まぁかわいいからいいけど
8:13 よくみるとお前を女にしたみたいな顔してるわ
8:13 なんかタイプかもしれん
8:15 とりあえずほかのやつらにも拡散しといたw

画像には狐の耳と尻尾を生やしてそれを必死に隠す巫女服を着た女性の
姿が映っていた。
…死にたい。
ただ彼はその一言だけつぶやきまたも天を仰ぐことになった。
「犬耳と一緒にするなど許せぬやつだな。」
気をしっかり持っていれば「そこじゃない!」と彼は言っていただろうがその
気力も今は底を尽いている。しばらく彼は真っ白に燃え尽きていたので見か
ねた狐は大きく息を吸って溜め込んだ息をゆっくりとまるで彼の耳元にめが
けるように吐いた。彼の鼓膜は指でなぞられるようにくすぐったくなり、体全
体が身震いした。そしてようやくカメラのピントが合ったように彼は自分を取
り戻した。
「ようやくお目覚めか。お主、まだまだ未熟じゃのう。それではこの神社の巫
女として務めるなど到底無理じゃぞ。」
「僕は巫女になるなんて一言も言っていない!」
「まぁよい、それよりも早う、あの石像に戻してくれ。」
周りを見渡すと本堂の近くにそれらしき狐の石像が置いてある。
「あれにお前の魂を移せばいいんだな?」
「そうじゃ。」
「一体どうやるんだ?」
「そなたがその石像に触れるだけでよい。それだけでわしの魂はあの石像
へと帰ることができる。」
思ったより手間のかかるようなことはないみたいだ。そうと分かれば迷うこ
とはない。石像に近づくと有り難味のかけらもなくあっさりと触れてみた。触
れてからしばらくすると手のひらを通して頭の先から足の先まで光に包まれ
ていく。そして今度は、その光が彼の体から何かを抜き取るように光が石像
に移動していく。すべての光が石像に移動すると石像がその光を吸い込む
ように消えていった。そして光が吸い込み終わった。
「よくぞ、わしを元に戻した。礼を言うぞ。」
妖艶な声はあの狐のであった。ただ違うのは彼の頭の中に響くような声では
なくその石像から聞こえたということだ。頭を触ってみるとあのモフモフはつか
めなくなっていた。どうやらなくなったらしい。ではプニョプニョのマショマロみ
たいな胸はというと…つかめないくらいずっしりと残っていた。まだ依然として
女性の体のままのようである。
「さて一つ目の願いは叶った。二つ目のワシの願いは聞いてくれるか?この
神社の巫女になる決意は固まったか?」
「なんで巫女になりたいけどどうしようかなって悩んでた風になってるんだよ!
どっちかというとどうやって男に戻って巫女姿から開放されるか悩んでいたん
だけど!」
「ではこのまま巫女にならずに男に戻りたいということか?」
「そいうことだ。」
「…分かった。」
「あれ?案外聞き分けがいいんだな。」
「別にお前じゃなくても構わんからな。適当にここに参拝来た女にやってもら
うさ。」
それはそれで心苦しいような気がした。だが自分がわざわざ女としてやるよ
りは幾分かはマシだとも思った。
「ではわしの前に立て。元に戻してやる。」
彼は狐の言うなりに石像の前に立った。
「ではそこを動くなよ。」
「はい、はい。」
生返事をしながらも素直に狐の言ううことを聞いていた。
そしてがまた不思議な光が彼の体のすべてを包み込んでいた。だが先ほど
の魂を移した時とは少し違う輝きを見せていた。そして輝度が最高までに達
すると光は一瞬で消えてなくなった。これだけの光が輝いたのだからすでに
戻っただろうと彼は安心した。そしてそれをより実感するために自分の胸を
触ってみる。
「よし、もうなくなって…ない!?」
胸のあたりを手で動かすが先ほどのように二つの大きな重みのあるに半球
体が残っている。
「どいうことだよ!」
狐は黙っている。石像なので無視しているのか何を考えてるか分からない
から不安になる。
しばらくしてようやく石像はしゃべりだす。
「…どうやら力が完全に戻っていないみたいだ。」
「力が戻ってないって…?じゃあどうするんだよ?このまま戻れないのか?」
「まぁ落ち着け。通力が衰えているとは思えん。封印されている間、むしろ英
気を養う時間は十分にあったからのう。だとすれば他に理由があるに違いな
い。」
他に理由があると言われても人間の彼には全く検討がつくはずがない。彼
は落ち込むようにしゃがみこんでしまった。お尻の方で何かを左右に振りな
がら。
「おい、お主!後ろを向け!」
石像は突然何かに気がついたように彼に言った。
彼はしぶしぶ後ろ向くと大きなモフモフが左に右に揺れている。
「なぜ、お主まだわしの尻尾をまだつけておるのだ?」
「そういえば…。」
とはいえなぜと言われても彼の方が聞きたいほどである。
「もしやわしの魂がまだお主に残ってしまったのか。そういえばお主の体の
居心地が良かったからうまく魂魄の切り離しがうまくできなかったかもしれ
ん。だから力も半分もでなかったのだ。うむ、それなら納得できるぞ。」
彼ははっきりとまでは理解してなかったがおそらく石像に魂を戻すのが不完
全だったということは分かった。
「だとすればどうすればいいんだよ?」
尻尾をゆっくり振りながら狐に問いかける。
「もう一度お前に宿り、今度はちゃんとすべて石像に戻るよう意識すれば問
題ない。」
「また僕に乗り移るのか?今度こそ本当に大丈夫なのか?」
彼は尻尾をしんなりさせている。
「大丈夫じゃ。やってみる価値はある。」
まだ納得してないがどうすればいいのかなんて彼には全く分からないのだか
らとにかく狐に従うしかなかった。
彼はまた石像に触れた。が、
「ちょっと待て!誰か来る!」
狐がそんなことを言うので慌てて後ろを振り向く。
確かに石段を登ってくる音が聞こえる。そして石段からは男の頭が見えた。し
かも見たことのある顔の男だ。その男が石段を登り終えて全身が見えたとき
にはっきりと確信した。そいつは先ほどスマホにメッセージを送ってきたしが
ない高校生の幼馴染の親友である。ここにきて最大のピンチがやってきたか
もしれない。親友はなんのためらいもなく巫女姿の彼に近づいた。平然に近
づいてくるのでかなりドキドキしてしまう。でもなぜここに来たのだろうか?
親友は言った。
「あの~もしかしてここの人ですか?」
なぜそんなことを聞くのか我が親友ながら疑問だったがそれでもここを乗り切
ろうととっさに巫女のフリをしながら答えることにした。
「は、はい、ここの神社の巫女をしています。」
答えると親友は頭を掻きながら「ああ、コスプレじゃなくてまじもんか…」とつぶ
やいた。親友は心の中でつぶやいたつもりのようだが丸聞こえだった。
「今日はどのようなご用件で?」
「いやちょっと、ここに可愛い巫女さんが入っていくのを見たんでつい…。」
親友はどうやら可愛い巫女をみつけると“つい”後をつけていく子だったらしい。
ただ可愛いと言われてちょっぴりうれしくも思った。
「あのカメラ写してもいいですか?」
先ほどまで散々黙って写したくせにと思ったが大好きな親友の為ならと少しだけ
ならといいと許可してあげた。
「(うん?俺は今どうして“大好きな”と考えたのだろうか?)」彼は心の中でそん
なことを思った。男同士の親友に対して大好きというのはちょっとおおげさ過ぎる
表現に疑問を紙くずくらいには感じた。だがカメラで撮り始められてからはすぐに
その疑問は消し飛んだ。
はじめのうちはカメラに撮られるのが恥ずかしかったが次第に慣れはじめると自
分で表情を作って笑って見せたりもした。しかも自然にそんなことができたので
自分でも不思議に思っていた。男のときからカメラなんてそもそも撮られるのは苦
手だったのに。だが親友が楽しそうにカメラを写しているのを見るとこちらまで楽
しくなってくるのでつい笑顔をしてみたり、可愛らしくポーズを取ったりまでしてし
まう。
「ああ、これなら一眼レフ持ってこればよかったわー。」
「それならまた今度来てくれれば…あっ!!」
彼はつい楽しくなったせいかできもしない約束を口走ってしまった。
「本当っすか?今度っていつっすか?」
親友の目は無垢な少年のような目をしていてかえって間違いだと言えずにいた。
彼は石像に助けを求めるように耳打ちをする。
「ど、どうしよう。この状況…。」
しかし石像はこの問いに対して答えずわけのわからぬことを言った。
「やはり、あやつは…そうか、そうだったのか!」
「なにがそうなんだよ。」
「あやつはわしの夫じゃ!!」
「えええええええええ。」
まさかのこの状況での突然カミングアウトに何を言っていいか分からなかった。
「通りで似ていると思った。気配をちゃんと読み取るまで気づかなかったがま
ごうことなき我が夫じゃ。」
「夫ってなにさ!?」
「われの前世の夫だ。お前もわしの魂が一部残っているのだから多少は感づ
いたのではないのか?」
そんなのわかるはずもない。ただ親友に対する気持ちというか関係性が何か
違うような気はした。
「まさかこの時代に生まれ変わっておったとは。そんなことよりお主の体に入
るぞ。」
石像が光りだすと、体勝手に石像に手が触れていた。どうやら体の中にある
狐の魂の残留思念が彼の体を勝手に動かしたのだろう。光は彼の体に移動
して吸い込まれるように入っていった。魂が移動してから意識を失ったようにう
つむき加減になったがすぐに何か思い出したように頭を上げた。頭にはまたひょ
っこりモフモフの耳が生えていた。

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